ゴキブログ一覧
2009 .5.29
オレンジヘッドビュレットローチ葉食
本種の落ち葉喰いが激しい事は以前紹介したが,
入れると「あっ」という間に葉脈だけになってしまうので,
投入直後,一週間後を撮影してみた.
まず投入直後.
ゴキブリを飼育しているケージには見えない.
落ち葉を入れると,シェルターから沢山のゴキブリたちが食べに出てくる.
そして,一週間後.
綺麗に食べられている.
落ち葉を集めるのも結構大変な作業で,
街中の公園や田んぼの周りなどの落ち葉は,
近隣で散布された農薬等が付着している可能性もあり,
この辺を考慮して落ち葉拾いをしてくる.
2009 .5.28
クマネズミ子供
そんな訳で,クマネズミ飼育ケージ内にイエダニが大発生した為,駆除を行った.
その時に出て来た子供クマネズミ.
成獣は素手で触ると突如噛んで来るので手袋をするが,
幼獣は多分大丈夫ということで手袋はしない.
スキンシップをとるのもクマネズミの生態を知る上で重要である.と思う.
では,定期的にイエダニ駆除を行っていてなぜ発生するのか?
昔は写真の様に粘着シートに捕獲されたクマネズミを,
粘着シートからはぎ取り,体に付いた粘着(ポリブデン)を落とす為,
小麦粉や粉末飼料をふりかけ,静養飼育を行った.
すると,ポリブデンが付いた箇所はいったん毛が全て抜け,
禿げた状態になり,綺麗な毛が生えてくると元の外見に再生する.
たとえばこんな感じ.
そのような状態ではさすがにイエダニも駆除されるらしく,
飼育ケージ内のイエダニ発生はあまり無かった.
しかし,現在は箱罠にて捕獲する個体が多くなり,
野外に生息していた状態のまま持ち込むため,
体に付着したイエダニも同時に施設内に持ち込み大発生してしまった.
2009 .5.27
イエダニ刺咬部位
クマネズミを飼育していると飼育施設内にイエダニが発生する.
発生密度が低いと,人(飼育者)まで被害にあうことは少ないが,
突如として大発生し,大変な事態となる.
気が付くきっかけは私が被害にあうこと.
最初は「あれ?かゆい.どこかでやられたかな?」程度である.
発生源が飼育施設にあると気が付くのにタイムラグがある.
大体パンツのゴム回りに2,3箇所刺されておかしいと気が付く.
イエダニが主に刺す部位は上から
1. 脇の下
2. 二の腕
3. へそ回り
4. パンツゴム回り(背中方面はあまり刺さない)
5. 股間(前と後ろ)
6. 靴下ゴム回り
となる.
5番は場所が場所なだけに人前で掻くことも出来ず,辛いものがある(笑).
治療は特にしたことは無いが,痒み止めでも塗れば速く収まると思う.
しかし,個人差があるので程度により皮膚科を診療するなど各自対応していただきたい.
あまり綺麗な写真ではないので恐縮ですが,
イエダニに刺されて掻いた後.
2009 .5.26
イエダニ
ダニ目 中気門亜目 オオサシダニ科
イエダニ Ornithonyssus bacoti(Hirst)
都市部に生息している家ネズミの主要外部寄生虫である.
様々な実験に使用するクマネズミは,通常野外から採集してくる.
するとその体にはイエダニが付着している.
この写真は野外で採集したクマネズミ幼獣に付着して吸血しているイエダニ(→).
ネズミの体表や,ネズミが日常的に潜んでいる巣のような箇所に生息しており,
ネズミの体表より吸血し生活している.
血を吸って赤黒くなったダニ.
同定をする際はプレパラートを作る.
するとこのように見えるようになる.
「イエダニ」というと,
畳や布団に普通に発生しているダニを指しているかのような表現がしばしば見受けられるが,
本種はネズミが生息していなければ家屋内に発生すえる事はあり得ない.
良く似た種で,スズメやハトの巣に生息するトリサシダニやスズメサシダニなども人から吸血し,
刺咬被害を出すが,いずれにせよ鳥獣類が家屋内外に生息していなければ,発生はしない.
そんな彼らが宿主であるネズミが駆除されたり,死亡したりすると,
餌となる吸血源が無くなり,一時的に人から吸血し空腹を紛らわす.
その時に無数のイエダニが天井等より室内に侵入し問題となる.
駆除方法としては,発生源になっている死鼠の回収や放棄された巣の撤去等,
生息原因の除去も重要であるが,イエダニの場合は直ちに人に被害が出るため,
殺虫剤を使用するのが好ましいと思う.
イエダニ等の中気門亜目はチリダニ類が属する無気門亜目に比べ,
殺虫剤の感受性が高いので,殺虫剤の効果は出易い.
2009 .5.25
ビートルローチ
Diploptera punctata
体長2cm内外.
英名:The Pacific beetle mimic cockroach(太平洋の甲虫に擬態したゴキブリ?)
ハワイなどの太平洋上の島々に分布しているという.
現に私の先輩がハワイに行った際,ホテルの周りで本種を捕まえたと聞いた.
翅が皮状で質感も甲虫の上翅を思わせる.
本種の日本国内飼育に関しては比較的古い記録があり,
1987年に,日本応用動物昆虫学会に研究が発表されている.
それによると,28℃で4回の脱皮を行い約60日で成虫となるとある.
本種は他の卵胎生のゴキブリと少し違い,保育嚢に収容された後,
数齢加齢した状態で産まれてくるらしい.
飼育していると,通常で言う1齢のようなサイズのゴキブリが存在しなく,
繁殖していないと思っていたら,数は増えていることから,
産んではいる様である.
でなければ4回の脱皮で成虫になる事はないであろう.
以前何かで読んだ本の中に,「体内で生まれた初齢幼虫に,
体内でミルク状のものを与え,ある程度の大きさまで育ててから産み落とす」.
とあったような・・?.
2009 .5.22
サツマゴキブリ 放棄された卵鞘
卵胎生のゴキブリを飼育していると,卵鞘が放棄されているのをよく見かける.
理由は今のところ判らないが,この卵鞘を見るに,
卵鞘が曲がったり,先端が細くなったりと,異常が見られる.
自然界では卵鞘を排出する際,適した場所に移動し,
単体でひっそり生んでいると思われる.
しかし,飼育のような過密した状況や,
飼育者がよかろと作った環境では上手くいかないであろう.
下は卵鞘出したまま死んでいた個体.
これは保育嚢に戻す途中のトラブルであろうか.
卵鞘は正常に見える.
2009 .5.21
サツマゴキブリ 幼虫
幼虫は光沢の無い薄茶色で,他のマダラゴキブリ科の幼虫に良く似ている.
個体により明るい茶色のものや,濃い茶色の個体もいる.
写真中最も大きい個体は終齢に近いと思われ,成虫に近い色彩が出てきている.
初齢幼虫は3㎜前後.
地味な幼虫である.
2009 .5.20
サツマゴキブリ 雌雄
成虫雌雄の見分けかた.
写真は腹面の腹端部.
こちらは♂.
そして♀.
♀の腹端の腹節は1枚の面(1節)であるのに対して,
♂は2節で構成される.
比較すると大きい方が♀であるが,1匹だけで始めてみる人はこの部位を確認すると間違わない.
2009 .5.19
サツマゴキブリ
マダラゴキブリ科 Family Epilampridae
サツマゴキブリ属 Genus Opisthoplatia Brunner v.Wattenw
サツマゴキブリ Opisthoplatia orientalis (Burmeister)
過去にも幾度となく登場しているが,改めて解説.
日本には5種のマダラゴキブリ科が記録されているが,
4種はマダラゴキブリ属に属し,サツマゴキブリ属は本種1種のみ.
その特徴は,前胸背前縁は放物線状の円弧,後頭部を覆う.
マダラゴキブリ属は後頭部が顔を出している.
そして,最も大きな特徴は♂♀とも前後翅は鱗状に縮小する事.
♂の体長25㎜内外(写真左).
♀の体長35㎜内外(写真右).
成虫は艶のある黒褐色で,前胸背前縁に白い縁が入る.
また,背面より見ると,腹縁は赤茶の色が入り,綺麗な外見をする.
生息場所は,朽木の樹皮下,湿った林床などに潜んでいるものが見られる.
幼虫・成虫は水辺を好むようで,湧き水のある場所で見ることもある.
私が採集した場所もそのような場所であった.
国内分布は九州,四国以南とされるが現在北限は千葉県まで記録がある.
探すと意外な場所で発見する可能性がある.
皆さんも家の周りなどを探してみてはどうだろう.
国外では台湾・南支那に広く分布するという.
2009 .5.18
ヨロイモグラゴキブリ幼虫
幼虫.
こちらは小さいため多頭飼育している.
オオゴキブリやクチキゴキブリ同様姿を見る機会はあまり無い.
唯一生存の確認はプラケの底や側面から個体を見る事だろう.
これはケージ底に持ち込まれたニンジン.
しばらくしたら無くなっていたので,元気に生きているようだ.
気づくとマットも黒く劣化した状態であったので交換.
まだ,3年目ぐらいの大きさだろうか.
入手困難なため,自然の環境を再現しようとすると,
マットを使用してしまうが,マット無しで繁殖させた話も聞いた事があり,
何がベストかはまだまだ判らない.
2009 .5.15
ヨロイモグラゴキブリ ペア
「ゴキブリは増える.」というイメージがある.
それから考えると本種はゴキブリらしくない.
全く繁殖しない.
屋外に生息している種は通常産卵する時期があるが,
温度を保てば大体時期を問わず産んでくれるのであるが・・.
一説によると日本の秋がオーストラリアの産卵シーズンと言われ,
その時期に集中して子供を産み落としている事例を聞く.
半年振りにマットを交換した.
掘り起こすと仲良く一つ穴に居たので,相性は悪くなさそうである.
これも聞いた話で申し訳ないが,本種の繁殖は雌雄の相性も重要で,
オーストラリアではブリーダー間で,相性が合うように,
個体同士トレードを行っていると聞いた事がある.
知らない人が見たら,何の虫と思うであろうか.
2009 .5.14
フタテンコバネゴキブリ 幼虫
中齢幼虫.
白と黒のツートン.
黒は漆黒色,白は透き通る白さである.
茶色をベースとしている事の多いゴキブリの幼虫に比べ,
白が目立つ変わった色彩である.
1齢幼虫.
2㎜程度の大きさ.
以前も紹介したが,クロゴキブリやウルシゴキブリの1齢幼虫に大まかなところで似ている.
こちらが卵鞘.
大きさは4.5㎜内外.
形も揃っている.
形態だけで比べると,チャオビゴキブリの卵鞘に近い.
この卵鞘を貼り付ける事無く,産み落とす.
2009 .5.13
フタテンコバネゴキブリ
Family Blattellidae チャバネゴキブリ科
Subfamily Blattellinae チャバネゴキブリ亜科
Genus Lobopterella Princis フタテンコバネゴキブリ属
Lobopterella dimidiatipes(Bolivar) フタテンコバネゴキブリ
♀成虫.
体長は♂9㎜,♀10㎜とあるが,♂♀ほぼ同型同色彩.
見た目ではあまり変わらない.
名前の由来どおり,中胸背にオレンジの紋が二つある.
よく見るとこれも人の顔に見えてくるから面白い.
漆黒色で短翅.
前胸部から腹端節に至るまで体の周囲は黄白色に縁取られる.
腹側から見ると,胸部から頭にかけて白が基調のカラフルな種.
白い脚が美しい.
雌雄は腹面腹端部を見ると違いが分かる.
背面からは大きさも小さい事から識別し難い.
左が♀.右が♂.
2009 .5.12
ゴキブリの擬態(ブロンズゴマダラゴキブリ②)
ブロンズゴマダラゴキブリ幼虫.
幼虫はさすがに枯葉の上にいると目立ってしまう.
見た目もゴキブリ.
しかし,土に潜れば目立たない.
この辺は他の野外種の幼虫も同じ.
この写真の中には成虫3匹.
幼虫多数潜んでいる.
2009 .5.11
ゴキブリの擬態(ブロンズゴマダラゴキブリ①)
「昆虫の擬態」(海野和男/著)にゴキブリが1種出てくる.
日本にも様々な隠れ技を持った昆虫がいるが,
熱帯産の昆虫は日本の種とはスケールが違う.
そんな熱帯に生息するゴキブリ.
ブロンズゴマダラゴキブリ.
タイ・ミャンマーなどの熱帯に生息する.
学名は不明.
本種の特徴は成虫が落ち葉のような色彩をしていること.
体長45㎜内外.
成虫が3匹写っていますがどこにいるか判りますか?
右タッパー内の定規の横に1匹.
左タッパー内に翅だけ出しているのが1匹.
下方 プラケを登ろうとしている1匹の全3匹.
こちらは1匹.
背景の落ち葉がクヌギの為,楕円形の形態は浮いてしまうが,
ジャングルのような様々な落ち葉が堆積している場所であれば,
上手く溶け込んで目立たなくなっているのであろう.
2009 .5.8
マルバネゴキブリ 卵鞘数
マルバネゴキブリが★になって約1ヶ月.
卵鞘は一向に孵化しません.
同居していた幼虫はなんとヤエヤマキスジゴキブリになりました.
そんな訳で,ケースの整理を兼ねて卵鞘を拾い出してみました.
食べられた物も入れて27個.
成虫で入手したので生涯に27個以上の卵鞘を産む事になる.
しかし,単為生殖すると噂される本種.
真相は・・.
とりあえず,希望は捨てずにもう少し様子を見ることに.
2009 .5.7
ジャイアントローチ Archiblatta hoevenii
Archiblatta hoevenii (Giant Roaches)
マレーシアに生息するといわれる大型のゴキブリ.
手許に来てから飼育環境に少し馴染んだ様なのでご紹介します.
当時結構注目を集めていたようなので,ご存知の方も多いと思う.
飼育に関して調べてみたが,国内はもとより海外でもさっぱり情報が見つからない.
国内でも知る限り1名飼育されているようだが不明な点が多い種のようだ.
体長は70㎜内外.
体に厚みがありカマドウマやキリギリスといった外観を持ち,
刺激を与えると「ギギイ」と鳴く.
やはりゴキブリではなく無翅のキリギリスでは?
なんてことは やはり無い.
ちゃんとゴキブリの卵鞘を産んだ.
巨大な卵鞘で産み始めてから産み落とすまで丸2日要した.
2009 .5.1
ドミニカローチ
Hemiblabera sp. ♀成虫.
脱腸個体発見.
拡大.
サツマゴキブリの時と同じ症状.
卵胎生種の宿命であろうか.
過去に以下の種で確認しており本種で5種目
ヤエヤママダラゴキブリ Opisthoplatia orientalis (Burmeister)
サツマゴキブリ Rhabdoblatta yayeyamana Asahina
ジャイアントウッドローチ Archimandrita tesselata
ブラベルス属
これからも分かるように大型種ばかりである.
はたして小型種でも発生しているのであろうか?
発生しても小さいので分かり難いと思う.
この個体1週間後も普通に生きており,即致命的な症状ではないと思われる.
しかし,こうなると交尾はもとより産卵は不可能であろう.
ヨロイモグラなどで発生したら目も当てられない.